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ときのこえ
2014.11.28(金)

ときのこえ 2014年11月号

聖書に学ぶ人生観 西宮 幸治

ときのこえ2014年11月1日

先頃の新聞に、厚生労働省から発表された2013年の日本人の平均寿命が掲載されておりました。それによりますと、女性は86.61歳、男性は80.21歳で、いずれも過去最高を更新したとのことです。女性は2年連続で長寿世界一、男性は調査が始まった1891年以来初めて80歳を超え、世界第4位だそうです。
日野原重明先生は『命をみつめて』という著書の中で、「日本人の平均寿命が延びようとも、結局私たちの肉体は朽ちてしまう。だれであれ、死が待っているのです」と書いておられますが、これは否定することのできない現実です。

旧約聖書の詩編には
「人生の年としつき月は七十年程のものです。健すこやかな人が八十年を数えても得るところは労苦と災いにすぎません。瞬またたく間に時は過ぎ、わたしたちは飛び去ります」(90編10節)
とあり、これも真実です。

では、限りある人生をいかに生きるべきかについて、聖書の言葉に耳を傾けてみたいと思います。

初代キリスト教会の指導者であったパウロが弟子のテモテに書き送った手紙の中で、「わたしたちは、何も持たずに世に生まれ、世を去るときは何も持って行くことができない」ので、「食べる物と着る物があれば、わたしたちはそれで満足すべきです」(テモテへの手紙一6章7、8節)と述べています。

物が溢あふれるほど豊かで、お金さえあれば何でもほしい物が手に入る今日の日本に、「食べ物と衣服だけあれば満足だ」と言える人は少ないと思われます。
この手紙の中でパウロは、人間の金銭欲を戒め、次のように語っています。
「金持ちになろうとする者は、誘惑、罠、無分別で有害なさまざまの欲望に陥ります。その欲望が、人を滅亡と破滅に陥れます。」(6章9節)
新聞やテレビで毎日のように報道される詐欺、窃盗、強盗、殺人事件などの犯罪に手を染め、悲惨な人生の結末を迎えた人々の背後には、自分の持てるもので満足できず、金銭欲に目が眩くらんだ人間の姿があります。
イエス・キリストは、
「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか」( マタイによる福音書16章26節)
と問いかけておられます。
同じマタイによる福音書の別のところには、
「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」(4章4節)
とも書かれています。
人間は生きるのにパン(物質)を必要としますが、同時に神を必要とする霊的な存在でもあるのです。パンは人の心の渇きを癒し、強めることはできません。
昔、詩編の作者は
「涸れた谷に鹿しかが水を求めるように 神よ、わたしの魂はあなたを求める。神に、命の神に、わたしの魂は渇く」(42編2節)
と詠いました。天地の創造者である神は、人類を罪とその悲惨な結果から救うために、イエス・キリストを救い主としてこの世に送ってくださいました。

この愛なる神を知ることこそ、わたしたちの心の渇きを癒し、強め、人を破滅に陥れる欲望に打ち勝つ勝利者とする秘訣なのです。

(救世軍士官〔伝道者〕)

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