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ときのこえ
2011.12.14(水)

ときのこえ 2011年クリスマス号

THE WAR CRY 救世軍公報

クリスマスの希望 吉田 眞

東日本大震災が起こってから9カ月が経たとうとしています。未だにその被害の傷跡がたくさんの場所に残っています。大きな被害を受けた市町村の復興はまだまだ先のように見えます。そのような困難の中で、心がくじけ、前に進めないように感じることがあるに違いありません。そのような時、人を前へと進める力は、将来への希望が見える、ということではないでしょうか。
救世軍も、少しでも希望をもっていただくことができるようにと、いろいろな支援をしてきました。これからもその支援は継続されるでしょう。

さて、クリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝う日であり、まさに将来に希望を与える出来事だったのです。当時、キリストが生まれたユダヤの国は、ローマの属国であり、被占領国としての苦しみに遭っていました。政治は堕落し、貧富の差は激しく、弱者が虐げられていました。宗教的には、宗教家たちが堕落し、本当の心の宗教が低迷していました。人々は、そのような状況の中で、救世主(メシア)の到来を待ち望んでいました。700年も前から救世主の到来が預言されていたからです。彼らの期待するメシアは、ローマという占領国を打ち破り、ユダヤの独立と繁栄をもたらす人だったのです。ところが、実際に現れた救世主(イエス・キリスト)は、この世の王様の家にではなく、宮殿での一室でではなく、きらびやかな産着を着てではなく、小さな村ベツレヘムの外はずれの、普通の宿屋どころか家畜小屋の片隅で、粗末な布にくるまれて生まれました。
彼は、聖書の表現を借りるならば、「神の子であったのにそれに固執しないで、人間の一人として、人間空間に生まれた」のです。それは、普通の人間のもつ悲しみや苦しみ、孤独や疎外感、貧しさや虐げ、それらのすべてをわたしたち人間と共有するためでした。
苦しみの中にあるとき、一番励まされるのは、同じ苦しみや悲しみを共有してくれる人がいることではないでしょうか。キリストは、まさにわたしたちの悲しみや苦しみを共有してくださるのです。さらに、それだけにはとどまりませんでした。
三十年余の生涯の後、彼は、十字架に架かかって死んだのです。聖書によれば、それは、わたしたち人間の罪(自己中心的な思いや行動、より大きな存在である神を認めないこと)に対する罰の身代わりとなるためでした。その結果、人間には、罪を赦ゆるされ、心の平安を得る道が開かれたのです。
キリストが生まれたときユダヤ人たちが期待したのは、国家の回復、目に見える繁栄でした。同じようにわたしたちも、目に見える豊かさを求めてしまいますが、本当の安心、平和は、心の中にあるべきものなのです。イエス・キリストの誕生(クリスマス)は、その心の平安と豊かさを得ることができるということの、神様が与えてくださったしるしなのです。それは、キリストにおいて、父なる神様がわたしたちの価値を認め、ありのままのわたしたちを受け入れてくださることが、約束されているからなのです。

苦しんでいる人がいるでしょうか。心に平安がない人がいるでしょうか。自分の行き先がわからない人がいるでしょうか。誰も自分をわかってくれないと言う人がいるでしょうか。心の中に不平ばかりが起こってきている人がいるでしょうか。何事につけても、感謝ができない人がいるでしょうか。
もしあなたがその人の一人なら、クリスマスはあなたに希望を約束します。なぜなら、2000年前に生まれたキリストは、今も、信じる者にとって、その約束を受け入れる者にとって、それらに回答を与えてくださる救世主であるからです。

(救世軍士官〔伝道者〕・司令官)

ときのこえ2011クリスマス号

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